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自分の殻

台湾出張時に知り合った台湾人のLと、久しぶりに再会したものの、思わぬ形での再会であったことと、家に着いたのが平日の夜だったことも合わさって、話もそこそこに用意してくれていた一室に閉じこもってしまった。

今でこそ、テレビでも世間でも性的な多様性が広まっているが、当時社会人2~3年目の私にとっては、それまでの人生でゲイの人たちとの接点は全然なかった。
その時の正直な気持ちとしては、そういう人たちとどう接していいのか分からず、コワかった。

翌日は、ロサンゼルス周辺の観光へ。
有名な「ユニバーサル・スタジオ」に行けるツアーに一人で参加することにした。
Lは朝から銀行での仕事があるため、シティのツアー集合場所までは、Lの男性パートナーが車で送ってくれることになった。

その白人の年配の男性は、とても紳士的かつ親切なヒトだった。
車中でも、私の不十分な英語のコミュニケーションに対しても、嫌な顔ひとつせずに色々会話をしてくれた。
これも偏った意見なのだろうが、「ゲイの男性は経済的にも豊かな白人男性も多い」みたいな話を耳にしたことがあったので、妙に納得してしまった。

日本からの見知らぬ訪問者に対する彼の親切な態度に、閉じこもっていた自分のココロの殻から、少し頭を出せたような気がした瞬間ではあった。
ただ、殻を破るにはまだまだ時間が必要だったことも明らかだった。



by lateblooming | 2017-04-02 14:35 | 初のアメリカ | Comments(0)