病院では勇気を出して訊け!

ケガや病気を診てくれる病院の先生はその道のプロ。
そう信じるからこそ、病院で診察を受けるときは、お医者さんの説明内容をただただ一生懸命に聞くことに終始してしまいがちだが、大きなケガや長引く病気に負けない為には、自分のアタマでも考えて、疑問に思うことや「ん?」と気になることは、どんどん質問することはとても大事なこと。
いろいろケガをして病院のお世話になってきたからそう思う。

ただし、それが、海外の病院で先生から英語で説明される場合には、更にハードルが高くなる。
内容を理解するのすら一苦労。その上、ケガや病気で身体が弱っているときは、気持ちも弱くなっているので、先生に疑問をぶつけるというのも結構タイヘンだ。

そんな体験を、シドニー滞在時に実際にした。
週末のアマチュアサッカーの試合で、人生で初めてアキレス腱を切って手術入院したときだった。

運動をしているヒトへの何かの参考になるかもしれないので、その時の体験を少し説明してみることにする。

それは、日曜の早朝、サッカーの試合が開始してから早い時間に起こった。
フォワードのポジションにいた私は、自陣の方から飛んできた浮き球をフィールドの中央近くでトラップしながらターンをして前方のゴールにドリブルしようとした瞬間、右足のふくらはぎ部分全体を「思い切り蹴られたような衝撃」を受け転倒。
ホイッスルが鳴らず、試合は続行しているので、おかしいなと思いながら立ち上がって、数歩あるくとすぐに右足首にまったく力がはいらず、「足首がペタンペタン」となっていることに気づいた。
その瞬間に『やっちまった。。』と、(これまで経験したことはないのだが)アキレス腱を切ってしまったと頭に浮かんだ。
実際のところ、周りにいたメンバーに訊いても、相手選手は誰も私の脚を蹴ったりしておらず、「完全自爆」だった。
頭の中では、原因を考えた。
その日初めて巻いたいつもと違う足首のテービングが悪かったせいか?
試合前にギリギリ到着して、準備運動がいつもより雑だったせいか?
他にも腰や膝が痛かったから、それをかばってその部分に大きな負担がかかっていたか?
いずれにしても、どれも後の祭りである。

大きなケガをしてしまった自分が情けないのと、病院に早くいくのが専決だという思いで、ベンチのメンバーと軽く言葉を交わして、まず帰宅することにした。
ただ、困ったことにそこへは車を運転して来ていて、右足は完全に力が入らない状況。車で30分かかる家までどうやって帰るか?
結論は、「左足で運転」して帰った。
運転しながら、『長いことサッカーやってたから右足と左足がだいたい両方同じように使えて良かった。“芸は身を助ける”だな。』と、そんなサッカーをやっていたからアキレス腱を切ってしまったことと矛盾するようなことを考えていた。

その日のうちにすぐに、週末開いている病院へ行った。
昼頃行って、ちゃんと先生に診てもらうまでには外は暗くなっていた。
診断は、やはり『アキレス腱断裂(Rupture of Achilles tendon)』だった。
先生が示した治療方法は2つ。一つは「手術」でもう一つは「(固定して)自然治癒」だった。
『切れたアキレス腱が自然に治るの?!』と質問した。治るらしいが、時間はかかるらしい。(そりゃそうだろう)
以前から気になっていたのだが、『切れたアキレス腱をどうやってつなぐの?』と訊くと、先生曰く「切れた腱の両端の繊維を一部分重ねて糸で縛る」という。
『なるほど。確かにつながりそうだ。』と納得。ただ、重ねる部分が多すぎると、“脚、短くなるんじゃね??”と頭に浮かんだが、それは質問しなかった。
結局、早くまた運動出来るようになる方は、手術だということだったので、すぐに手術することに決めた。
すると、病院側が、『明日、時間は分からないが手術できる先生がいそうだけど、今晩入院するか?』とオファー。このスピード感とざっくり感は、日本にはナイなと感心しながら、そうすることにした。

そのまま入院して翌日、夕方頃まで特に診察するわけでもなく病室で不安になりながら待機。
夕方になって、いきなり『これから手術室に行きます』と呼びにきた。
それまで、本当に大きな不安が1つあった。「体重」を一度も測っていなかったことだった。
アキレス腱の手術は全身麻酔で行うと聞いていた。そして、日本で「全身麻酔」で手術する場合には、“非常に僅かな可能性ですが不測の事態が起こることもあります”という承諾書へのサインをした上で、体重等をきっちり計って、それに合わせて麻酔の分量をきっちり調整してくれ、かなり慎重に事を進めるというのが自分の経験からも普通だった。
そういったプロセスが、手術室へ向かう移動式ベッドに載せられた時まで一切ないのだ!これはホントに焦った。

そして、いよいよ手術室に運び込まれると、麻酔医だろうと思われる男性が私のベッドの脇にやってきた。
最後のチャンスだと勇気を振り絞って、訊いた。

ワタシ『全身麻酔で手術するんですよね?』
麻酔医『イェス!』
ワタシ『体重測ってないよね??!』
麻酔医『ああ、けど大体70キロぐらいだろ!?』
ワタシ『た、確かに70キロぐらいだけど。。』
麻酔医『だろー!分かるんだよ。ノーウォーリー!!』
ワタシ『・・・・』(お前は、ドラマ『医龍』の阿部サダヲかー!!)

このとき、ほんの一瞬、“このまま目が覚めないで家族と会えないことも・・”という考えが脳裏をよぎったが、すぐに気持ちを強く持てと自分に言い聞かせたことを思い出す。

結果、手術は無事成功。
ちなみに、手術跡は、奥さんがいまだに『ザクザクだね』というくらい、日本ではあまりお目にかからないような粗い縫い目の手術跡だが、その後運動も出来るまで復帰できたので、きっと切れたアキレス腱の両端も“ガッチリ重ねて”縫い合わせたのだろうと思う。
実際、手術した方の右足が1cmくらい短くなっていて、スーツのズボンの裾合わせをするときに、いつも少し面倒な思いをする。
これは手術前に先生に質問はしていなかったが、予想が当たっていた。(決して嬉しくないことは、言うまでもないが。)

病院では強い気持ちで!!



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by lateblooming | 2018-01-13 21:31 | オーストラリア赴任 | Comments(0)