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短編を侮るなかれ~洋書の読書を楽しむ・2冊目~

人生で初めて洋書を一冊読み終えた後に、英語の先生から薦められた本は、イギリスの推理作家ルース・レンデル(Ruth Rendell)の「短編集」であった。
短編集のタイトルは、「A Spot of Folly」。

正直言うと、一冊目の推理小説「Holding」(Graham Norton著)を予想以上に楽しく読めたことでちょっと気が大きくなり、『短編だから当然ストーリーが短いわけだし、今回の方が読むのがラクなんじゃない?』と調子に乗って読みはじめた。
しかし、読みはじめてすぐに、自分の思い上がりが全く間違っていたことを痛感することになった。

『短編を甘く見てはいけない。。』

そう感じた主な理由は、主に以下の2つ。

まず、短編は内容がつかめないまま終わってしまうことがある。
一冊200~300ページでひとつのストリーが展開される場合は、最初の方で状況がうまく掴めなくても、読み進めていくことにより情報が徐々に追加されるので、ストーリーの内容は把握しやすい。
一方で、この本のように、1冊に短編が約10本入っているような場合、短編1本当たり20~50ページくらい。そうなると、なんと、状況が掴める前にストーリーが終わってしまうことがあるのだ!簡単に言えば、「起承転結」の”結”だけしか分からない感じ。これは痛い。

そして、やはり「本物の作家」は使う語彙が難しくて豊富ということ。
一冊目は、有名インタビューアー(であるグラハム・ノートン)が初めて書いた作品だったこともあり、比較的平易な文章であった為、内容も掴みやすかったが、今回は、本格的なイギリスの女性作家であり、分からない英単語も多く文章も難しかった。

そのようなワケで、正直に言って、短編約10本中の3本くらいは、最後まで状況が分からないまま終わってしまった(涙)

ただ、それでも!”アガサクリスティの後継者”と呼ばれたりもするらしいイギリスの「ミステリーの女王」である彼女のストーリーは、さすがに重厚で面白い。
もっと、英語力がついたら、ぜひまた彼女の作品にチャレンジしてみたいと思った。

最後に、そんなルース・レンデルの世界観が伝わるのではと思う、私が一番衝撃を受けた、今回の短編集の一番最初に収められていた”超短編”を、下記に原文の英語をそのまま紹介する。
たった3センテンス(文)で、その情景が目に浮かび、そして”ゾクッ”とくるから凄い。
しつこいようだが、これは「抜粋」ではなく、これで一つの「完結した短編」である。
では、どうぞ。

(「A Spot of Folly」(by Ruth Rendell)より)
Never Sleep in a Bed Facing a Mirror
"Alone in the four-poster, she glanced up from her book and saw in the mirror a little old woman sitting beside her. She shut her eyes, looked again, saw an empty bed, neatly made with fresh linen. The hotel staff summoned by her screams, found no one, not even herself."

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by lateblooming | 2019-01-24 22:21 | シドニーで新たな学び | Comments(0)