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嵐に遭ったら錨を下ろして話し合う

想定外の出来事に遭遇したら、まず最初に何をするか?!
人生における想定外の出来事とは、大海を航海中に遭遇する「嵐」のようなものかもしれない。
そんな事態に見舞われたら、行く先が見通せなくなり、当然ながら慌てるだろう。

私にとって、ある日突然会社から、「自分の仕事がなくなる」と宣告された事態は、想定外の出来事であり、まさに「嵐」だった。

どうすればいい??!!

私の場合、その時に頭に浮かんだのが、少し前に読んだ「ひとつの記事」だった。
それは、ハーバードビジネスレビューに掲載されていた、ピーター・ブレグマンの「不測の事態を切り抜ける、3つのステップ」という記事で、そこには、筆者の友人が海でセーリング中嵐に遭遇した際の行動を例に、不測の事態が起きたときの大事なポイントが書かれていた。
記憶に残っていた自分なりの理解は、以下のようなものだった。

嵐に遭ったら、
1.まずは船を停めて船員と話し合う
2.現実的な方向性を定める
3.そして、突き進む!


自分の状況を当てはめて動くことにした。

まず、一人でやみくもに行動する前に、錨を下ろして”船員”に事態を伝え、話し合おうと考えた。
自分が船の”船長”だとしたら、”船員”とは、やはりシドニーで「一緒に生活する家族」、つまり奥さんと娘だった。
そして、すぐに”副船長”である奥さんに要点と話をしたいとメッセージを送った。
考えてみれば、その時、奥さんは仕事中だったので、メッセージだけで「嵐」の一報を受け取るのはたまったものではなかっただろう。
実際、待合せの場所であるシティのハイドパークに向かってくる奥さんの顔は、数百メートル手前から青ざめて真っ白なのが分かった。
さすがの私も、その時ばかりは、いつも半分本気で半分冗談で言っている”我が家はスリルとサスペンスがテーマでしょ~”という軽口は叩けなかった。
状況について詳細を正確に説明し、今後取り得る限られた幾つかの選択肢についてふたりで話し合った。

そして、「シドニーで生活を続けられる3ヶ月以内に、何が何でも次の仕事を決めるために本気で頑張るしかない。」という方向性が決まった。

公園のベンチから腰を上げて、最後に一言絞り出した。

『オレ、ピンチには結構強いから。。』

奥さんを安心させたい気持ちと、自分自身に言い聞かせたいという気持ちからだったと思う。

奥さんからは、

『これまでで最大級(のピンチ)だよ。。』

と。

その夜家に帰ると、もう一人の”船員”である娘にも話をした。
シドニーで通う大学の卒業まであと1年を残す娘は、驚きと不安の表情を見せた。

私からは、

『絶対に、シドニーで大学を卒業させてあげるから心配しなくていい。父さんも頑張るから、ともかく勉強を頑張りなさい。』

と伝えた。

後で奥さんから、その夜、娘が部屋の隅で膝を抱えて丸まっていたと知らされたときは、胸が痛んだ。

それでも、数日後には、娘が日本のあるバラエティ番組の動画を観ながら、ケラケラ笑っているのを見た時には、とてもホッとした。
正直、”コアラな娘”だけあって、鈍感なのか気持ちが強いのかはイマひとつ分からないが、少なくともオーストラリアで逞しく育ったものだと実感した瞬間でもあった。


こうして、家族との話し合いを終え、大きな方向性が定まり、「嵐の海」を進みはじめた。


by lateblooming | 2019-06-22 16:19 | シドニーで大きなチャレンジ | Comments(0)