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自分の芝も意外と青い

「隣の芝は青い(青く見える)」とはよく聞くことわざのひとつ。
「他人のものは何でも良くみえるものだ」といった意味で覚えているのではないだろうか。
私も少し前まではそう理解していたのだが、次の話を聞いてからは少し違う見方もするようになった。
その話を少し紹介したい。

その話とは、ラッセル・ハーマン・コンウェル(Russell Herman Conwell)の「エーカーズ・オブ・ダイヤモンド(Acres of Diamonds)」である。
事実に基づいた話だそうだ。

話の概要は以下の通り。

アフリカに移り住んだ一人の農夫の話。
この農夫は、ある日、自分と同じような他の移住者がアフリカでダイヤモンドの鉱脈を発見して莫大な富を築いたという話を聞く。
その農夫は、すぐに自分の農場を売りダイヤモンドを探しはじめることにした。そして、広大なアフリカ大陸をダイヤモンドの鉱脈を探すことに残りの生涯を費やした。しかし、市場で高値がつくようなダイヤモンドの原石は一向に見つからず、意気消沈し、一文無しとなり、自暴自棄となり、最後は川に身を投げ溺れ死んでしまった。

という、『他人のものが良く見えて失敗した』という(なんとも残酷な)ストーリーであるが、大事なのは「その話の続き」の方だ。

ではその続きを。

この農夫がダイヤモンドを探してアフリカを駆けずり回っている間のこと、その農夫から農場を購入した男性が、ある日、その土地を横切る小川で大きな見慣れない石を見つけた。
調べてみると、その石は莫大な価値のある素晴らしいダイヤモンドの原石であることが分かった。更には、その農場がそういった価値のある石で覆われていることも判明した。
つまり、最初の農夫は文字通り”何エーカーものダイヤモンド(Acres of Diamonds)”を所有していたのに、他の場所にそれを探し求める為に、その価値に比べたらほとんどただ同然で売ってしまったということである。
彼は、もっと時間をかけて、自分が探すべきダイヤモンドの原石がどんなものなのか調べて、まずは自分が所有する土地を探していたとしたら彼が求めていた大きな富を自分の土地で持つことが出来ていたのに。

というストーリーである。

要するに、この話全体を通してのメッセージは、『私たちそれぞれが、現時点で、自分自身の”ダイヤモンド”の真ん中に立っているという事実を知ることが大事である。』ということである。
自分の今いる場所こそが、青い芝すなわち”Greener Pastures”(直訳すると、より青い牧草地)かもしれないのだ。
つまり、まずは今いる状況の中で、今やっていることに一生懸命取り組むことこそが何より大切なのだと理解した。

私自身は、この話から『隣の芝が青く見えるとき、その一方で、他の人からは自分の芝も意外と青く見えているのかもしれない。』そんな風な考え方を出来るようになった。

このことは「自分の仕事」を続ける上でとても役立っている。
具体的には、自分がやっている仕事である『カジノを含む統合型リゾート(IR)』の仕事を考えたとき、これまでに何度か「違う仕事」を考えなければならないような状況に立たされたことがある。(このブログでも書いたけれど)約1年前もシドニーでまさにそういった状況であり、ちょうどそんな時に、英語の勉強を通してここで紹介した話とそのメッセージを学んだ。
そして、『紆余曲折ありながらも自分が長年関わり続けてきた仕事こそが、これからも追及してみる価値のある仕事ではないか。』という結論に達することができ、幸運にも今もやりたい仕事に関わり続けることが出来ている。

最近でも、自分が携わっているIR業界に関わるスキャンダルの報道で少々気が滅入りそうにもなるが、そんな時だからこそ、「自分の仕事」そして「自分の携わる業界」の将来性を信じて、今の自分の仕事を追求していこうと思っている。

自分の芝は意外に、いや、絶対青いと信じて!!


by lateblooming | 2020-01-11 12:44 | 日本で新たなチャレンジ | Comments(0)